6/24~26のあれこれを、フィクション×ノンフィクションでどこまでが事実かわからないモジャと堅物のワクワクレポート。
お遊びを許せる方は、どうぞ(笑)

…何故かまたこの人とホテルに泊まる羽目になった。
何故だ、どうしてだ。
「去年のホテルより部屋広いよなぁ」
「…確かに」
「あそこ狭い上にベッド一つだったもんなぁ」
「……」
「あ、今夜も別に添い寝してもいいんだよ俺は」
「お断りします」
そもそもここに来るまでが、散々だった。
どこに行くのかわからず(同じ轍を踏むあたり俺も阿呆だが)連れて行かれた、渋谷と言うより表参道寄りの店。
明らかに外観からして、おかしい。
展示してある商品がおかしい。
「ここでオリジナルのパンツ作れるって言うからさ、一回見てみたかったんだよな」
「…何故、俺と?」
「面白いから。え、だって賢くんもパンツ興味あるだろ?」
たとえあったとしてもあんたには教えてやらん。
店の前で、予防注射を嫌がる犬の如く抵抗しまくっていたら、諦めたのかユゲさんは一人では入って行った。
その間店の前のテーブルで待っていたが、いくら待っても帰ってこない。
このまま放置して消えるかと思っていた頃、奴は意気揚々二つ袋をぶら下げて帰って来た。
「店員のおにーさんにいろいろ相談してさ、これ買っちゃった!可愛いだろ?」
「…そうですね」
「ちゃんと賢くんのもお揃いで買ったから、安心しろよ」
何をどう安心すればいいんだ、何を!
そんなこんなんで、非常に不安に包まれながら池袋にやって来た。
…池袋。
そういえば、高梨の奴がこの辺りによく来ると言っていたな。
「あれ、池袋って確か克巳くんの庭」
「ああ…そういえば」
「呼び出して遊ぶか、一緒に」
「あの人だけじゃ来ないんじゃないですか」
「だから、ほら高梨君に頼んで」
…結局そうなるのか。
「ほら、あそこ!ミルクスタンドの前で待ち合わせ」
なんでミルクスタンドなんだ。いくら高梨の家が牛乳配達してるからって、失礼だぞ。
: : :
結局予定が合わず、呼び出しに失敗したため、こうして俺達は二人のままなのだが。
昼飯がまだったので、ホテルの隣にあるという、焼小龍包が旨いという店へ行った。
間口の狭い店で、いつも行列が出来ているらしい。
幸い待たずに座れた店内に、大きく貼ってあった紙。
…そうだな、小龍包だから中から熱いスープが飛び出すな。
しかも焼いてる、熱いに決まっている。
「賢くん、ふーふーしてやろうか?」
「要らん」
「とか言って、さっきすごい格闘してただろう?」
なんでいちいち見てるんだ、このモジャは!

なんだかよくわからないまま、カラオケに連れ込まれたりして、どっと疲れて戻ったホテル。
早速シャワーを浴びるのはいいんだが…
どうしてこの男は、シャワー上がりにきちんと浴衣を着れないんだ。
「だって着れないし、着せてよ賢くんが」
「自分でやれ!いい歳した大人が!」
パンツ一丁で迫るな、こっちに来るな!
今回のホテルは、ユニットバスに鍵が付いている。
最悪あそこに篭って一晩過ごすか、真剣に考えた俺である。
: : :
翌朝目覚めたら、ユゲさんが煙草咥えながら結構真剣な顔で…戦隊シリーズを見ていた。
「面白いか?」
「結構。ほら、これ使って変身するんだよ、このシリーズとか賢くん世代じゃない?」
「…いや、俺はあんまり見ていない」
次にやっていた仮面ライダーも、色々と詳しかった。
日曜早起きなのか、この男。
それはいいとして、朝からずっとこんな子供番組見ているのか、この男。
…実は結構、マニアックなのか。
「え、だってホラ、お客さんの小さい子と話する機会あるだろ?話題提供の一環」
そう弁明していたが、果たしてどこまで本気なのだか。
:::
よくわからないまま一泊したホテルの周りは、何気に如何わしい店が多く。
よく目に付いたのは、…愛人とパパらしき二人だった。
そんな中、このやたら目立つモジャと歩く俺まで注目を浴びて、いたたまれない。
早いところ解放されて、帰りたい。
このまま西武線に乗り込みたい気持ちで、引きずられ池袋の街を散々歩かされた俺だった。
【完】
・・・・・・・・
「ホテルに泊まる」と決まってから、ずっとワクワクしていたのは、こんなネタが浮かんでいたからで(笑)
行く先々で、この二人ならまた何か面白い事をするに違いない、と話しながら歩いておりました。
ホテルのエレベーターホールに、赤い椅子が有りまして。
「ここに座って待ち構えられてたら、Uターンするね」
「いたらヤダ(笑)」
そんな事を言いながら何度も上がり降りした我々でありました。
モジャと堅物は見かけなかったとしても、我々珍獣凸凹コンビはもしかしたらどこかで誰かに見られていたかもしれません。
害はないのでそっと、生あたたく見守って下さいませ<(_ _)>

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